それでもまだ奇跡の起こっていない人へ

お茶づけ・英語づけの生活は,おそらくまだ続きます。

Love, Rosie: あと1センチの恋


映画『あと1センチの恋』公式サイト

 

幼なじみ2人が,12年間すれ違い続ける話。

高校時代は古めかしいテキストチャットで会話してたロージーとアレックスが,途中からiPhoneのMMSを使い始める辺り,12年の歳月を物語ってる。ことごとくタイミングの合わない2人で,ビデオチャット繋いだら相手の今の彼女が出たり,アナログに手紙で想いを伝えたせいでその手紙が読まれなかったり,大事な話をしたい時こそ電話出ないし,どんなデバイスももどかしい。アレックスが今の彼女と喧嘩した勢いでロージーにメールしてきて,ロージーが会いに行ったらまだその彼女と付き合ってるし,変な話,メールばかりオンタイムでちゃんと届いて,逆にすれ違う。

 

予告編でもロージーが言ってる「No matter where you are, what you're doing, or who you're with」までで,これ絶対泣くやつだ,と思った。アレックスが子どもの頃からずっと変な夢を見るっていうのも伏線で,「あなたがどんな夢を見ようとも」と台詞は続いて行く。いやハーバードの医学部まで行けたのにアレックス何してるんだよって思ってしまうあたしはまだまだで,文字通り「あなたが何をしていようと」「I will always, truly, completely, love you」なんだな,と。

 

注意しなきゃいけないのは,iPodに入ってる曲で映画作ったんじゃないかと思うぐらい流行った曲ばかり流れて笑えること。イギリス映画だからLily Allenが2曲ぐらい出てくるのは分かるけど,イントロで笑う。あと「Suddenly I see」は「プラダを着た悪魔」の冒頭のイメージが強すぎて。笑 流行の曲ばっか使ってあのテンポでストーリーが進む辺り,ティーン向けの映画なんだろうな*1。ボストン大に受かってるのに妊娠して行けなくなるってもう,全受験生を萎えさせると思う。男遊びする気失せるよ。だから若い子,特に受験生は見ましょう。

 

流行ってる映画だし(?),ネタバレしつつこれはどういう映画だったのかという話を。

もう本編を見た方,逆に本編を見る気のない方は以下もどうぞ^^

 

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ストーリーが希薄に見えてしまうとすれば,お互いがすぐに次の人(たいてい元カレか元カノ)と付き合うから。彼らは数ヶ月たりとも一人で生きない。ラブレターを数ヶ月後に読んだときには相手は元カノとヨリ戻してる。ロージーは一言「誰かといたいのよ」って言うけど,最後の方のスピーチする場面で「人生のパートナーを間違えれば絶望が待ってる」って言ってる…。「好きな相手が誰かと付き合う/結婚するなら自分も誰かとするか」をお互いが繰り返してて,そりゃすれ違うわ。一回別れた人とまた付き合って,つまり彼ら同じ人と2回別れるから,ヨリ戻すって不毛な行為だなと思える。*2

18歳の時から12年間ってことは,物語の最後で2人は30歳(なんと原作小説だと50歳で結ばれるらしい!) 。20代のうちに2人ともバツつけてるものの,映画版はちょっと若めになってるからそんな遅くは感じない。ただ,アレックスは医者になりたいしロージーは田舎でホテル経営がしたいし,もし2人が最初から付き合ってたとして,それこそうまく結婚できてただろうか?。

 

30歳になったロージーはお父さんの遺産で自分のホテルを持つんだけど,12年苦労だらけだったロージーがやっと自分の夢を叶えるとき,旦那や彼氏はいないんだよね。一番好きな訳じゃない誰かといたときは二の次になってて叶わなかった夢が,お父さんや親友のおかげで叶う。これは特筆すべきでは。

そこに,明らかに全てを捨ててきたアレックスが戻ってくる。ホテルの近くで開業医でもするのかなとか考えつつ,この2人は確かに「どちらも理想的に夢を叶えていたら結ばれないのでは」と思っちゃうね。これは優先順位の話なのかな。

男が消えても夢は残る。叶えていたらそこに男が見つかる/戻ってくる,ぐらいに考えた方がいいと思う。結婚が何よりも目的ならともかく,「とりあえず誰かといること」は誰も幸せにしない。だからこそ特に若い子はこの映画を見ましょう(二回目)

 

 

こんな感想しか言えないやつがなぜ恋愛映画なぞ見に行ったのか。

実は,イギリスの田舎町の2人がボストンの大学に,っていうストーリーを見た瞬間に,イギリス英語とアメリカ英語両方出てくる話か!と思ったから(実際はほぼイギリスの俳優さんばかりだったんだけど)。「bollocks(タマのほう)」連呼とか,イギリスだね。イギリス・アメリカ英語両方出てくる映画の代名詞といえば「Holiday」で,英語学習に見た人も多いと思うけど,「あと1センチの恋」も使える気がした。

ホリデイ [DVD]

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まずDVDを用意しないといけないけど,日本語吹き替えの方が台詞の情報量が多いので一回英語字幕+日本語吹き替えでも見た後(日本語字幕は文章を短くするために意訳が多い),英語字幕を出しつつ1台詞ずつ再生を止めて「丸暗記すべき文」と「意味が取れないから調べなきゃいけない文・単語」を「日本語の台詞/字幕」と共に書き出していく作業,大変だけど色んな映画を流し見するより効果ある。*3

この「あと1センチの恋」でも,ラブレターの中身が日本語字幕だと「君はもっと愛されるべきだ」とかだけど,実際の台詞は「you deserve someone who loves you with every beat of his heart」。 原作ではこの手紙でプロポーズしたことになってるらしいんだけど,I'm in love with youとかそんな直接的なことを全然言わないのです彼ら。

辛いことをする必要はないけど,何かしないことには英語も上達しないので,こちらの映画もDVDが出たらもう一度この「書き出し」をしてみようかな。なんか告白の台詞のレパートリーばかりが増えそうだけど笑

 

 

なんて言いつつ,映画館であたしもめっちゃ泣いてたのでした。

 

 

*1:と,2〜3年前までティーンだったあたしの感想。

*2:登場人物を増やさないために元カノと元カレしか出てこないのであって,原作はもっと色んな人と付き合ってるのかもしれないけど。

*3:ちなみに「英語の映画を見ることはあなたの学習にどう役に立ちますか?」っていうピンポイント過ぎる質問,2015年1月のIELTS speaking testのsection3でされた。