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それでもまだ奇跡の起こっていない人へ

お茶づけ・英語づけの生活のなかで,考えたこと。

her/世界でひとつの彼女

感想

映画『her/世界でひとつの彼女』

超賢いOperation Systemとの恋。Siriと付き合ってるのを想像してもらえたら。設定は少し未来みたいだけど,音声認識機能が正確になっててBluetoothとかが発達してるレベルだと思うので,ほぼ現代(OSがフラットデザインなのがなぜか笑えた)。LAが舞台だからか映像も光の取り方も綺麗でキラキラしてて,オタク感は0に近づけてはある。

 

スマホみたいなPC(そういえばスマホ使ってる人いなかった気がする)と一緒にデートしたり,OSと付き合ってることを周囲にも認めてもらったり,ああこれは「好き」とか「付き合う」っていう概念の話なんだと思ったのは後のこと。例えば関係持った持ってないで線引きをできるのは人間同士の場合だけで,相手が顔も身体もないOSだったら何で線を引くのか。OSとの恋って設定して初めて,もっと原初的な「好き」とかいうものについて考えることができるんだろう。

 

声だけで好きになってもらえるなんて絶対にありえない自分。

 

 

OSとの恋だけど「人間の心」と向き合うことがテーマかな。テーマとはズレてるのかもしれないけど,誰かといないと生きていけないことが人間の弱さのように感じて,その弱さを何度も何度も,映画の最後の最後まで突きつけられる。

 

主人公が手紙の代筆をする仕事をしてるのにはやっぱ大きな意味がある。知らない誰かに書く手紙はゴテゴテ盛ってうまく書けるのに,前妻に振られてからは暗くて女々しいおじさんっていう印象(主人公が眼鏡かけてなかったらまた作品の印象が変わるんだろうな)。でも映画の最後に”自分の”大事な人に書く手紙は全然ゴテゴテしてなくて,ああこれが「心」と向き合った結果なのか,と思ったり。

 

 

具体的なことを言えば,自分が長いこと遠距離をしていた彼氏は少し割と年上だったのもあって,スマホ世代じゃなかった。映画の中のOSと主人公が何年一緒だったのか知らないけど,彼らの方がよっぽどずっと一緒にいてたくさん会話してる。あたしの場合相手は身体のある人間だったんだけど,「もうすぐ付き合って4年」「4年半」「もうすぐ5年」と年月が延びていく様は,まさしく概念の話だ。彼と会えてた時間が自分にとってあまりにも非日常過ぎたのか,概念と付き合ってるようにも当時は感じて,それがなんというか男性に縁のない人みたいだなと自分でも思ったりした(めっちゃ言葉選んだ)。

前妻と別れたショックでOSと付き合ってるって言うと可哀想な人だけど,彼氏のいない友達のうち数人が韓流のアイドルにハマり出したり「今度〜〜歳年上の人と会う」って言い出したりするのを見てると,相手が実在してる人間でも起こってることは変わらないと思う。

 

 

そんな風に自分に近い問題としてすり替えてこの映画を見ることができれば,ラノベ感をそこまで苦にせず観れる映画かも。浅い結論になるかもと思ったけど,(間延びさせつつ)全て親切に描ききってくれてる。展開がブツブツ切れててパーツごとに唐突な印象を受けるのは,OSの進化が人間より早いからなんだろうな。スパイク・ジョーンズ(監督・脚本)が思いついた「OSと付き合う世の中になったら起こりうること」を詰め込んだような印象。

 

このカットはこういう意味ですよ〜って分かりやすい映画だったが故に,自分で作品を深めないといけない。見終わった後に「ああこれは意味付けが必要な映画だ」と思った。

 

誰かと観てシラけるのが怖い人は一人で観るのをお勧めします。(主人公がOSに夢中になったり急に不安になったりっていう機微がはっきりくっきり描かれてるので,観客も温度差を調整して,適宜シラけながらも飽きずに観る技術が求められるかもしれない。)

 

 

 

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