さくらもちを,探している。
花曇りの昨今,というか若草萌える季節,
さくらもちを探している。
明日が誕生日の先輩へのプレゼントである。
なんて先輩想いな後輩なんだろう。
他の同級生が何もしなくてもちゃんと用意するのである。
「明日はさくらもち買おうかな~
誕生日だから好きなもの食べたい」
と今日言われたからだなんてとてもとても
「ウィッシュリスト公開してるから買って」みたいな
冗談めいた言い方ではなかった。
他の人に言ってもおかしくないのに,あたししかいない時に。
わざわざ言わなくていいことだったのに。
だから,探している。さくらもちを。
こんなことは,あたしが普段感じている息苦しさの
ほんの一端でしかない。
葉桜の候,さくらもちが売ってるわけないだろう。
*
実はさくらもち味のアイスがスーパーで売っていることを知っている。
白餡と餅が入ってるんだけど,かなりおいしかった。
唯一嫌いな食べ物があんこの自分がわざわざ買って確認してある。
きっとあたしは
和菓子屋を確認した後にアイスを買うだろう。
わざわざ言わなくていいことだったのに。