それでもまだ奇跡の起こっていない人へ

お茶づけ・英語づけの生活は,おそらくまだ続きます。

叶えられる約束を積み重ねる。

 


前回までの記事の流れで彼の日本での職が決まったあと,私たちは夏休みを彼の実家の辺りで過ごしていた。パリで彼の知り合いや親戚に出くわすたびに,彼は「日本から来てる彼女と休暇を過ごしてる,自分も日本で働く」と説明していた。すると会う人会う人,遠距離とかハーフの子供の話ばかりしてくる。そうか子供が産まれたらハーフなのか!と,言われて気がついた。

親以外の(年配の)人が自分の恋愛の心配をしてくるようになると,この間まで院生をしていた私も,既にいい歳になっているのだなと感じる。

「家族すごいね。いきなり日本人の彼女連れてきてもみんな順応してる」と言うと,彼は「自分の日本への熱を見れば自然なことだし,母親も“mixが一番美しい”って言ってたから」と返事をした。

生まれも育ちも身につけた文化資本も,生粋のパリジャンであっても,彼の家系を考えると,ハーフというかミックスだろうななどと考える。

 

ここに羅列したようなことが,自分事になるということ。 

 

 

彼のお父さんは空港まで迎えに来てくれたりした。私の帰国前日にお父さんが会を設けてくれて,彼のお兄さんカップルにも会ったとき,お父さんがブレスレットを2つくれた。お兄さんの彼女さんも同じものをしている。

ペアでつけよう,ぐらいの気持ちで1つ彼にあげようとすると,なぜか渋っている。彼いわくお父さんはシリアスな空気を避けるけど,これには何か重い意味がある気がするとのこと。言われてみると,単にアクセサリーとしてつけてはいけない空気を感じた。

すると彼が「俺が二つとも持っとくから,一緖に住めるようになったら渡す」と言うので,じゃあ日本に働きに来るときにこれも持ってきてねとだけ言った。

もし私が二度とそのブレスレットを見ることが無いのなら,私はお父さんの本気にふさわしくなかったことになる。だから,これで良かったのだ。

今後一緒に住むようなことがないのなら,その時はお互いがいる場所でそれぞれうまくいってるんだろうし,ある関係がうまく続かなかったことだけを悲観しなくてもいいのだろう。終わってしまうものには,きちんと理由があるから。

事実婚が半数の国の人が,結婚(法律婚)を最優先して職場や居住地を決めていくことはまず考えにくい。法律婚がメインの日本で育った私でも,院を卒業したばかりの今は考えられない。2人とも今から働き始める段階で,2人の関係以前に人生が全く安定していないのだ。しかも2人とも妙なこだわり(不適合?)があって,相手がいれば住む場所も仕事もなんでもいい,と言わないタイプである。

例えば傷を舐め合い依存する関係なら,お互いに不都合な状態でも続くのだろうけど。短気な私たちの場合,お互いの希望と要望が噛み合う範囲で一緒にいなければ,あまり意味がないのだろう。

 

周囲の先走りを他所に,彼が「お互いの仕事の都合とかあるけど,まずは一緒の街に住めるような道を見つけられたらと思う」と言っているのは正しい。

一個ずつ解決していくしかないのだ。

 

最初に彼に出会ったときは,再び日本に戻ってこれるかも微妙で,彼がその次に来日したときは,日本での仕事も決まってなかった。しかし今回も割と奇跡を起こして仕事も決まった。

不安はいくらでもあるけれど,離れる度に確実に再会してるので,大丈夫だろう。次に会う約束をその都度叶える能力は,今のところお互い持っているということ。

 

再び私がブレスレットを見られる日が来たらいいなと,現段階では思っている。もしくは,今度パリと日本を往復するときは,空港で別れるのではなく,同じ飛行機に乗って,一緖に帰ってこれたらいいなと思う。

そうやって一つひとつを叶えていくことができるなら,先走って予想した未来も,そんな浮ついた話ではないのかもしれない。

 

 

 

 

最初の方に起こした奇跡の話はこちら。念のため。