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それでもまだ奇跡の起こっていない人へ

お茶づけ・英語づけの生活のなかで,考えたこと。

「失敗」も「辛さ」も漠然としすぎている。

キャベツを千切りにしていて爪ごと指を切った。左手人差し指の右上が斜めに欠けている。翌々日には普通の顔で茶道教室に行き,絆創膏を貼っていると先生のお茶碗が傷ついてしまうので素手であった。指先を怪我してるなんてバレようものなら,そんな汚い指ではお道具なんて触らせてもらえないと思ったのだ。

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急に濃茶を点てるように命じられ,仕覆(↑こういう袋)から茶入を取り出さなければいけないのだが,爪が欠けて肉が見えている人間にこの結び目を解かせるとは。中指を使うと横着だと言われそうなので,指の腹なりを器用に使ったつもりで紐を解くと「仕覆の扱い全然できてないから○○さん途中からで申し訳ないけど代わって」と先生が仰り,私は引っ込むことになる。割り稽古(茶道のパート練習)もやってないので,点てずに済んでホッとした。ただ,どうせならもう少し早く言ってくれないだろうか。

 

私が下がると,主菓子に関東風の桜餅が出される。唯一嫌いな食べ物があんこである中でも,とりわけ曰く付きの和菓子である。

 実は「さくらもちを,探していた。」という名前の後編がブログの下書きに眠っているのだが,上記の前編で本音をぼかした苦労が水泡に帰すので公開していない。お菓子をいただきながら,桜餅を流し込もうとする食道の中だけ重力が逆さにになっているようだった。

 

姉弟子さんが「気にしてらっしゃらないと思うけど,先生が途中でお点前やめさせるのってよくあることだから。でもやっぱり今まで何年も茶道されてた方はスムーズだし全然違うわね」と気遣ってくださる。実は爪なり桜餅なりに気を取られていて「失敗」だとは感じていなかった。その前日の授業でしたプレゼンの方がよっぽど失敗であり失態であった。ただし,爪まで千切りにしたことや桜餅が咽び上がってきたことは,その辺りと分かち難く結びついているだろう。

 

その日に限ったことではない。お茶に関するレポートを書いて急いで茶道教室に向かう途中で自転車と衝突して,目の前の工事現場に目撃者がいるのを確認した後に,ぶつかったオッサンから名刺をかすめ取りそのままお稽古に向かうような日には,いつかお茶に殺されそうだなと感じる。

でもお茶を辞めたところで,どうせいつか死ぬのだ。

これというものが無かった頃に無鉄砲に自分を擦り減らしてた経験から言えるけど,これのために生きたいと思えるものもなく生きているのは,いくら本人は何かに必死であっても,生きながら既に死んでいるようなものだ。

 

上述の通り,非常に気が滅入っていた理由の一つはお茶というよりプレゼンであり期末レポートであり数々の人間関係であったり,そのプレゼンも当然のように茶道について書いたレポートに関してだったのだが,英語がうまくないことも,英語でばかり授業が開講されている院に進学したことも割と根本の原因だ。

自分の得意なことだけを,自分を褒めてくれる人の中で続けていれば,成功体験は思ったより簡単に得られる。慣れないこと苦手なことできないことをしたときに高確率で失敗しているので,「わざわざ」失敗してるのだと言い換えてもいいと思う。日本の大学でこんなに英語漬けになるのも,ネイティブ以上に多くの授業を取るのも,わざわざ掛けなくてもいい負荷だった。それなのにお茶もまだまだ素人の域で,お茶について話してる時でもうまく伝え切れていない。お茶は私の中では一番の得意分野かもしれなくても。

じゃあ逆に何をして失敗していたいだろうか。つまりは何を得意分野にしたいのか。もし漫然と自信を持っておきたいだけなら,簡単なことでもしておけばいいのだ。

 

人に話せるような成功体験を増やそうとする人生ほど誰かのそれと似通ったものになるし,特別な人生を送りたいなら誰もしないような失敗をするのが早い。ただし,しなくていい挫折,普通にしてれば絶対に味わわずに済んだであろう惨めな思い,人生のそんな部分はきっと誰にも言えない。言えないから,冒頭で茶道教室の話なんて出してるのだ。こんな思いをして大変でしたなんて,それが辛いことであればあるほど,よっぽどの笑い話でないとできないので,せめて大変じゃなさそうにけろりと生きるまでだ。

 

もともと指とか切っても痛い痛いと言わずに黙ってるほうではあるけれども,重い道具は軽そうに雑作もなく,軽い道具は重そうに大事そうに運ぶ,茶道でもそんなことをいう。辛いときに辛そうにすることはとても容易なので,どうせ話すなら何が大変だったか全て忘れたぐらい後の方がいいだろうと思ってずっとブログを書いていなかった。ただ,いつになろうと辛いことなんてわざわざ書き留めるものではないのかも。

2月いっぱいずっと張りつめてて,逆に一番しんどいときにふざける癖がある。

 

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